P2!STEP57「幻想の喪失」感想

今週は読んでいて、ちょっと切なくなりました。
・卓球は技術
完璧とは言っていいまでに川末を真似てきた水無瀬だからこそ、
カットでは勝ち目がないと判断、にわか前陣で勝負を挑む。
勝算は、川末の細かなクセも全て見抜けるという、
川末を憧れ続け研究し続けてきたからこそ出来る戦法。
しかし、それも川末には遠く及ばない。
「嘲る変拍子」と相馬が銘打った、すべての動作を個別にオンオフで切り替え、ペースを乱す戦法。研究すればするほど、その罠の餌食となってしまう。
そんな、相馬ですらも尊敬の念を抱く川末の技術。
鮮やかな攻撃と、何重ものフェイントで第2セットを奪取。
2−0と水無瀬を突き放す。


・今までと違う
川末の試合状況を見て、どう考えても安心の内容、
しかしヒロムの中にある一抹の不安。
そういえば眞白はアキラが女の子だって知らなかったんだね、
地味に伏線を回収してたりしながら、アキラは水無瀬の元へ。
集中力も散漫、何も出来ずにパニックになりかけの水無瀬に、
自分の卓球をするようにとのアドバイスを送る。
そして、第3セット。
川末に対し、無我夢中、カットで真っ向勝負を挑む水無瀬。
トレースとはいえ、レベルの高いカットに川末は打ち崩しきれず、ミス。
試合の流れは徐々に秀鳳に傾き始める。
ヒロムは、自分の中にあった不安を悟った。
今まで川末に憧れ、そのプレーを何度も目の当たりにしていたからか、
自分もそうだったから、同じ気持ちだと感じたのか、
それとも何か別の理由があるのかはわからない。
ヒロムが悟った、川末はこの試合、負ける、と・・・・。


・見にあわぬ袈裟、完璧であるが故に・・・
川末が水無瀬を打ち崩せない理由、それは「非力」であることだった。
しかし、川末もそれが弱点であるならば、何故克服しないのか。
鰐淵の問いに相馬が答える。
「克服しないのではなく、出来ないのだ」と。

説明によると、筋力は筋繊維数×繊維の太さ。
筋繊維の数は生まれながらのもので、絶対数は増やせない。
筋トレとは、そのあるだけの繊維を太くする作業である。
川末が非力であることを克服できない理由は、そこにあった。
生まれつき持っている筋繊維が少なく、それは通常の人のおよそ7割。
当然それを鍛えてはいるものの、既に今の筋力が彼の限界近くだという。
しかし、今までは問題なく勝ててきた、その強さを照明してきた。
カットマンである川末が、普通の攻撃型のプレーヤーと試合をするのなら、
それは十分な攻撃力だった。
しかし、現代卓球においてカットマンといえど打ち抜く力というのは重要で
それは相手が一流のカットマンであれば、尚のこと重要度は増す。
ただ、対戦しなかっただけ。
そもそもの絶対数が少ないカットマンというプレースタイル。
さらに、「優秀な」となればほんの一握りに過ぎない。
そんなカットマンの一人が今、川末の目の前にいる。
自分を限りなく憧れ、追い続け、トレースしてきた奴がいる。
自分の事をほぼ完璧にトレースした、一流のカットマンがいる。
それは、自分を越える事が出来ない川末を見ているよう。
もし、川末がカットマンで無かったなら、別の道で勝つ方法があったかもしれない。しかし、今の一流カットマンとしての川末があるのは、
十数年もカットマンというプレーを骨身に染み込ませてきたから。
それは今更変えることなんて出来ない。
自分がカットマンである限り、カットマンには勝つことが、できない・・・。
翼をもがれた鳥は、もはやガケに墜ちる他に道はない。
セットカウント3−2、破王、川末敗れる。


・交差する想い
ただ謝るのみ、誰も適切な言葉をかけられず一人去る川末。
次のWである山雀、梟宇は強気でいるも、プレッシャーがかかる。
一方、大金星ともいえる勝利をおさめた水無瀬もどこかおかしい。
キャプテン高槻の話もどこか上の空、落ち着かない様子で、
この勝利が、水無瀬の運命を変える一戦になるらしいが、
それはまた後々の話らしい。
そして、一人座り込む川末の前に現れるはアキラ。
実の妹である彼女がかけたのは、励ましの言葉ではなかった。
不様な試合ぶりと言い放ち、なにやらあまりよろしくない空気。
川末の様子を見に来たヒロムはこの光景にどう動くのか?


・まとめ
試合自体はカット同士の対決な割に、意外に短く終わったと思う。
川末にまつわる伏線の回収に力を入れながらも試合が進行できるように、
いい相手だったってことでしょうかねぇ。
王華の監督がスカウトをしなかった理由とか、多くは回収されて、
後は兄妹の確執や、精神的なことに関しての伏線回収が、
来週以降の内容になるんでしょうね。
僕と俺、一人称の違いや昔の話の補足もやってくれるのでしょうか?
アキラとヒロムの関係も少し悪くなったりしそうですね。
そんな中で、水無瀬の処理には驚いた。
一体何をやらせるんだろうか、ページ掲載位置や、
どこかのウワサも考えると、P2!がちょっと怖くなりました。
川末の非力さっていうのは、理由は違えど自分もどこか親近感を覚えました。
まぁ、私の場合は筋トレ不足に過ぎないんでしょうが、(笑)
一発で打ち切れず、課題としてパワー不足を指摘され続け、
筋トレをしても一向にスピードは上がらず、一応はドライブ攻撃型、
というプレースタイルにも関わらず、最終的にパワードライブは打てなくて、
仕方がないから小手先の技を使って騙し騙しのプレースタイル、
バックハンドを振ってみたりサービスに力を入れたり、前陣でブロック主戦だったり、台上技術や相手の裏をかく、意表をつく作戦を練ったり、
ループドライブも遅いのと、更に遅いのとを織り交ぜて無理やり緩急をつけ、
それでもここ一番で1点を取るのに苦労したし、
Wでは決定打をほぼ全てパートナーに打たせ、自分はゲームをつくりチャンスをつくる役に徹してみたり、なんか、昔が懐かしくなったなぁ。
なんだか話が脱線しましたが、試合のほうは1−1でダブルスに突入。
ここまでイマイチ活躍の機会に恵まれなかった山雀、梟宇が意外に頑張ってくれるのでしょうか、それともヒロムが高槻に勝つのかなぁ?
とにかく、どちらかが勝たない事には、ラストの眞白まで回せないし、
下手したら3−1で決着ついちゃうしなぁ。
どうなるのか非常に楽しみです。